2006.05.31

なぜ生物多様性が大切なのか

今日も「北海道に流れ着いた油まみれになった5500羽の鳥の死体」というニュースが放送されていました。

最近、生物多様性という言葉を聞く機会が多いと思います。

いったい生物多様性とは何なのでしょうか? 極簡単に説明をします。

私たちの地球の歴史を振り返ってみましょう。

46億年前、地球が誕生しました。12億年前、生物共通の祖先が誕生し300万年、前人類の祖先であるアウストラロピテクスが出現しました。こうした歴史を経て地球上には約1億種の生物種が存在していると言われています。これら全ての生物が複雑に絡み合い、相互依存的に微妙なバランスを保って全生態系は維持されているのです。全ての生物は気の遠くなるような時間をかけて、それぞれの環境に合わせて多種多様な進化をし(遺伝子的変異の多様性)、多種多様な種を生み(種の多様性)、多種多様な生態系を築きました(生態系の多様性)。そうした多様性を生物多様性といいます。

地球上に存在する約1億種の生物種が生物圏を維持していく上で、その果たす役割はほとんどわかっていません。また人類が種を識別し理解するよりも種が絶滅する速度の方が早いという恐ろしい事態になっているそうです。地球の歴史が1週間だとしたら人類の歴史はたった一秒あまりです。そのたった1秒の歴史しかない人類の営みが地球上の全生物に壊滅的な被害をもたらしているのです。森林破壊、大気汚染、有害化学物質の流出、野生生物の乱獲・・・そうした人類の生活維持のために地球上で毎日100〜300種が地球から永久に姿を消しているということです。

人類は偶然にも得られた高い知能で生態系の頂点に立っています。しかし人類による大規模な生態系の破壊は生物多様性の消滅を招き、それがまた他の生態系にも影響を与えるという負のスパイラルに陥り、やがて人類の生存自体にも多大な影響が出てきます。つまり、生物多様性の危機は、まさしく人類の危機なのです。事態は待ったなしの状況です。

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