2006.05.08

コアジサシでもう一つの観察。

今年、管理人のフィールドには標識されているコアジサシが最低2羽来ています。

一羽は♀、もう一羽は不明。総飛来数は20羽程度。これしかわかりません。

山階鳥類研究所が嵌めているものとは少し違うような気がします。一番下の写真位大きく写っていれば刻印の有無は判定が出来ますが、刻印が全く見あたりませんので、日本で標識されたのでは無いのかも知れません。コアジサシは3号サイズ(内径2.8ミリ)のリングが普通ですが、リングとフショ部の隙間からすると幼鳥の時に標識されたのではないかと思います。とにかく特徴があるリングので、標識したバンダーならばわかりそうな気がします。

さて、山階鳥研ニュース205号(5月1日発行、紙面がカラーになり色気が出てきました)で「コハクチョウの金属足環の写真判定で長寿記録が更新されました」という記事が載っています。従来、金属足環の観察を回収記録として扱っていなかったが、条件を満たす場合に限り回収記録として扱うことにしたようです。標識研究室では写真記録による回収が増えることが期待できますとコメントをしています。

これは、標識調査の可能性を考えると非常に重要な判断だと思います。再捕獲される確率と写真撮影される確率を比べれば後者の方が遙かに高いのは容易に想像されると思います。また、これから鳥を観察する人口はさらに増えると想像されますし、かたやバンダーの数はそんなに急には増えないでしょう。いくら捕獲数を増やそうとしても限界がありますし、再捕獲となるとその増加はかなり難しいでしょう。回収記録が増えないことには正確なデータは得られませんし、鳥類の保護という観点からも早急な結果が欲しいところです。データが集まる前に鳥がいなくなってしまっては、どうしようもありません。

つまり、バンダーが頑張って標識しても再捕獲されなければ結果が出ない個体識別法を、写真判定も視野に入れた現代的なシステムに改善する良い時期に来ていると思うのです。コハクチョウなどのような大型の鳥のみならず、小型の鳥にも対応が出来るものが望ましいでしょう。従来、標識された鳥の写真的価値は低いものとされてきたようですが、その辺の意識改革も必要ではないでしょうか。

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