2005.10.23
 管理人は最近とても怒っています。何故怒っているかと言うと野鳥を取り巻く環境があまりに悪いからです。ああ〜今回も長文になってしまいそうです。お暇な方は読んでみて下さい。

 ワシントン条約(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的とする。

 つまり、絶滅の危機に瀕している動物たちを守る条約です。驚くべき事に我が日本は鳥類においてその輸入量は世界一、約40%、13万羽!!を誇ります(^^ゞ。リクガメは50%を超えています。世界で取引されている約半分を日本が輸入しているのです。こんな事をしていては、希少な鳥たちが日本人の手によって絶滅させられてしまいます。映画などで動物が主人公になると、主人公になった動物が激減すると言う現象は日本に置いて数多くみられます。映画を見て感動をする=映画が訴えている意味をはき違え、自分も欲しくなる=ブームとなり主人公の絶滅の危機。これは、日本の国民性なのでしょうか?

参考資料excel書類です右クリックでダウンロードして御覧下さい(citesより--英語です)

 最近では鷹狩り人気で2002年から2004年に輸入された猛禽類は約3,000羽。このうち剥製にされる鷹もいますが、とんでもない数字です。鷹類は野生生物リストの「附属書 II 」に分類されていて輸出国の許可証さえあれば輸入できてしまいます。 元々、鷹狩りは貴族のものだったのですが、日本では普通の人がやっているようです。カブトムシ、クワガタ人気で沖縄、東南アジアの生態系をめちゃくちゃにしている日本人が、猛禽類にも触手を伸ばしているとは驚きです。こうして輸入した鷹たちが逃げ出し、在来種との交雑等が起これば生態系に影響が出てしまいます。事実外来種の鷹類が日本でも確認されています。また、鷹狩りでの鳥獣の捕獲は現鳥獣保護法では違法狩猟にはならないと言う不思議な実態があります。つまり、鷹を使えば野鳥や動物が採り放題なのです。なんとも、不思議な法律です。

 意外と知られていない事実。ガラスと衝突して死んでしまう鳥がとても多いこと。大阪にある博物館では年間約15羽がガラスにぶつかって死んでいます。日本全国でこのような危険な建築物が1,000(少ないと思う)あるとすると毎年 15X1,000=15,000羽が犠牲になります。ぶつかって死んでしまっても猫などの捕食者に食べられてしまい死体を発見出来ない場合が多いと聞きます。自然環境の中に建てられている建築物、一般の民家も含めは最近多く見られます。こうした環境では鳥の通り道になっていた可能性があります。もし、鳥がぶつかった事があるならば、ワシタカ類の形をした紙、バードセイバー等を貼る、植栽を変えるなどの対策が必要でしょう。また、衝突事故から野鳥をきちんと保護をするのなら、行政が建築法等で何らかの規制をしなくては根本的な解決は出来ないでしょう。

 密漁の実態。現職の警察官を筆頭に何の罪の意識もなく、野鳥を違法に捕獲しているという事実はもっと知られていないと思います。詳しくはここを参考にして下さい。山階鳥類研究所が発行しているメジロ識別のマニュアルでは韓国産のメジロは識別できないようです。

 日本製のかすみ網はとても丈夫で品質が良く海外でも人気のようです。山階鳥類研究所が発注している網屋さんから闇に流れて行くのだそうです。標識調査と密漁は表裏一体なのでしょうか?ネットオークションに出品されているたくさんの鷹の剥製、剥製屋さんの鳥。あの鳥はどこから持ってきているのでしょうか。生きている鳥を捕獲すれば違法ですが、何らかの原因で死んでしまった鳥を「拾う」のは違法ではありません。なにか、そこら辺が怪しい気がします・・・。

 日本は島国なので渡り鳥たちは全て、はるばる海を越えて日本にやってきます。一部、アホウドリ、サシバ、ハチクマはGPSでの追跡の結果、渡りのルートが判明しています。しかし、日本に於いて、海を越えて渡ってくる鳥たちがどういうルートで飛んでくるか、ほとんど観測はされていません。海外の書籍を調べると元気な鳥は休憩なしで何千キロもの距離を飛んでくるようです。しかし、天候が悪かったり、渡りの途中で風向きが変わったり、具合が悪い鳥の場合は、適当な離島で休憩をしなければなりません。日本ではいろいろな離島が中継地として使われているのが標識調査でわかっています。

 渡り鳥を本気で保護するのなら、そうした離島は保護区に指定して、渡りの時期の少しの間は鳥見ツアーとかの一般の人の立ち入りを禁止するべきです。なにより観察者&撮影者がいることにより、採食の時間が取れず十分な脂肪をつけることが出来なくなることは避けなければなりません。もし、離島から陸地までを飛ぶのに必要な脂肪が蓄えられないと、その鳥は海に落ちるしかありません。天候や風向き、気温などの様々な気象条件を切り抜ける為には栄養補給の十分な時間と休養が必要なのです。見物に行っている人は、おそらくそのようなことは考えもしないでしょう。なにしろ、滅多に見られない鳥が目の前で見られるのですから。冷静に考えれば、そのような余計な人の干渉が野鳥を死に追いやる可能性があることは簡単にわかるはずです。

 当然ながら、そのような場所で鳥を捕獲して調べる標識調査はもってのほかです。地上1〜3メートル、長さが10〜30メートルという、かすみ網が張られる限られた範囲でしか調べられない方法が役に立つ可能性はあまりに低いです。鳥は、3次元を移動する動物です。何よりそこの鳥がどこから来て、どこに行くのかほとんどわからないのですから。どうしても必要ならば、何の種類の鳥がどれくらいその島を利用しているのかを目視で調べた方が、よっぽど野鳥の保護になると思います。

 熱心なバードウォッチャー&カメラマンにも困ったものです。珍しい鳥が来ていると、携帯電話やメールであっという間に全国に情報が広まり、気がつくと大砲やスコープが並んでいる。鳥見をして2年が経ちますが、幸いなことにそのような現場は1回しか遭遇していません。そのときは鳥の世界も釣りの世界と同じだ感じました。釣りも情報があるとみんなで根こそぎ釣ってしまい結局そこには魚がいなくなる。また、違うところを見つけて釣りまくる。その繰り返し・・・。管理人は珍鳥マニアではないので、そうした情報は一切無視しています。鳥が好きなのか、鳥を見ることが好きなのか、鳥を撮影することが好きなのか・・・一体何故このようなことが起こるのでしょうか?しつこく追いかけ回せば、野鳥もここは繁殖には適さないと判断するでしょう。自分が野鳥の立場だったら他の場所を探したくなります。

 勿論管理人も野鳥の写真を撮影します。地元のよく知っている場所(裏山とか)で撮影をするのが好きです。勿論人があまり来ない場所を探してゆっくりと撮影をします。散歩の人が来ると鳥は逃げますが仕方がありません。でも、おとなしくしていれば鳥たちはやって来てくれます。管理人が遠征しない理由は出不精と言うこともありますが、人がたくさんいるところが好きではないからです。人がたくさんいれば鳥は嫌がるだろうと思います。

 農薬、酸性雨による森林破壊の影響。あちこち旅をして気になることは、山の木が枯れているのを頻繁に目にすることです。木がなくなれば鳥たちが住めなくなります。渡りの鳥が中継で休む所も減ってしまい、本来の繁殖地、越冬地に到着出来ず、仕方なく違う場所を選択せざるを得ない可能性もあります。また、農薬によって鳥が激減している地方もあるようです。そのような場所では、猛禽類を頂点とする健全な生態系など存在出来ません。

 初心者が、ほんの少し調べただけでもこんなに多くの問題が発見できます。長年鳥見をしてきた人はもっとたくさんの問題を知っているはずです。この間のノグチゲラの日記もそうですが、行政は一体何をやって来たのだろう?ふだんはおとなしい管理人もちょっと頭に来ています。

 このままで良いのか日本人。

PS:ノグチゲラに関して山階鳥類研究所には新しい資料はありませんでした。石田健氏が独自にやっている調査に関しての資料は山階鳥類研究所にはないそうです。ノグチゲラの正確な生息数は未だに不明。その生態に関してもわかったこともあるが、未だ不明点が多い。絶滅を危惧されている種に関しての調査に於いて横のつながりがないのは致命的ではないでしょうか・・・と素人は単純に考えてしまいます。

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参考資料

外務省

ワシントン条約事務局

東京税関 成田税関支署

TRAFFIC(トラフィック) east asia-japan

朝日新聞10月21日夕刊3面

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野鳥の標識調査に関して写真家の和田剛一氏が取り組まれております。ご興味のある方・・野鳥に興味がある方は訪れてみて下さい。(シンボルマークが貼られました。やる気モード突入?)

カワセミ日記」の中島さんのサイトでも標識調査問題を取り上げていますので、是非ご訪問して下さい。(なにやら行動がおきそう??)

日記を読んで標識調査に関心を持った方、直リンクで結構ですので是非お友達に紹介をして下さい。鳥たちの明るい未来のため、少しでも多くの方に標識調査に興味を持ってほしいと思います。

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