2006.10.09

「ハチドリのひとしずく」

 すでに知っている人も多いと思いますが、いま静かなブームになっている「ハチドリのひとしずく」を紹介したいと思います。

 この話は南米のアンデス地方に伝わる話を明治学院大学国際学部教授で、環境―文化NGOナマケモノ倶楽部主宰の辻信一さんが訳した短い話です。

------------------------------------------------------------------------------------

森が燃えていました

森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました

でもクリキンディという名のハチドリだけは いったりきたり

口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは

火の上に落としていきます

動物たちがそれを見て

「そんなことをして いったい何になるんだ」

といって笑います

クリキンディはこう答えました

「私は、私にできることをしているだけ」

出典・「ハチドリのひとしずく」 光文社刊

------------------------------------------------------------------------------------

 いま私たちに出来ること・・・決して大きな事は出来ないかも知れませんが、でも、小さな事の積み重ねがやがて大きな力になり物事を変えていく力になる・・・こんな意味なのでしょうか。

 ハチドリのクリキンディのメッセージは主に地球環境問題について使われているようです。子供達にこの物語を聞かせる環境教育を実践しているグループの話では、子供達はまだ見たこともない「ハチドリ」が大好きになったという反応が多いと聞きます。そこから地球の環境というものに興味をもってもらう。このような話を聞くと鳥を題材にした子供達の環境教育では、まず「野鳥」を好きになってもらう事が一番なのだと実感しますし、そこに大きなヒントが隠されていると思います。

 標識調査を盛り込んだ環境教育のように、自分たちがしていることの正当性を子供達に押しつける事からはじめるのではなく、純粋に野鳥たちとのふれあいに重きを置いた方が好ましいと思うのは管理人だけでしょうか?

 ちょっと話はそれましたが管理人は、昨年から標識調査(バンディング)について色々な事を書いてきました。決して標識調査だけではなく、私たちのそばで生活している野鳥たちの身に降りかかっている様々な事を含めた問題を提起してきたつもりです。

「わけがわからないヤツがなんか言っているぞ」と思っている人がほとんどだと思います。しかし、現実問題として人間の生活もしくは行動の犠牲になっている野鳥たちは確かに存在しています。防鳥ネットに絡まり死んでいく鳥たち、巣を違法撤去されたイワツバメ、車とぶつかり死んでしまったツバメ・ムクドリ・コサギ、釣りのテグスに絡まってしまったトビ、フクロウ、ウミネコ、飼い猫に襲われたツバメ、スズメ、キジバトもたくさん見てきました。・・・できるだけそのような犠牲になっている野鳥たちを少なくしたいと思い、小さな事でもいいから何らかのメッセージを発信したい・・・とやってきました。

 管理人は今、「傷ついた野鳥や動物たちの救護」という活動をしています。救護される原因の多くは何らかの形で人間が関わっています。野生動物と人間が出会うと少なからず軋轢が生じ、人間側の利益を優先するがために起こるものか、親切の押しつけによるものがほとんどです。神奈川県厚木市にある自然環境保全センターに運ばれてくる、たくさんの動物たちの世話をしていると、このような不幸な動物たちの数を減らしたいと強く思うのです。

来月、我孫子で開催されるジャパンバードフェスティバルに、「野生動物救護の会 かながわ」という団体の一員として参加をする事になりました。これが今、管理人に出来る「ひとしずく」なのだと思っています。

前のページ
次のページ
INDEX