2006.07.14

箱根ホテル事件に思うところ

私たち人間は生活をするために沢山の自然を犠牲にしてきました。山を削り森を切り開き海を埋め立てて野に棲む動物達の住処を奪ってきました。また、動物たちには私たちが無意識に作り出した危険な罠に陥ろうとしています。
山に棲むタヌキは生活の場を奪われ人間の住むすぐそばで生活をしなければ生きていけなくなっています。動物たちの生活道路・・・獣道を横切るように道路が敷設されタヌキが道路を横切る事が多くなると自動車とぶつかり交通事故を起こしてしまいます。
捨てられた猫に襲われたり、釣り人が残していった釣り糸や釣り針に絡まったり飲んだりして傷つく野鳥たちもいます。建物のガラスに衝突して怪我をする野鳥たちもいます。心ないカメラマンによって子育てをしなくなった野鳥もいます。
そして、工事のために巣が取り払われてしまうこともあります・・・。


箱根ホテルのイワツバメの子育ては初夏の風物詩として楽しみにしていたお客さんもたくさんいた事と思います。巣があれば当然フンが落ちるわけで、今まで何とか宿泊客を説得してやって来ただけに今回の事件は本当に残念です。
ホテルの経営上、巣を撤去するのは仕方がないのかも知れません。しかし、撤去の仕方に問題があったと言わざるを得ません。

雛が巣立つまで待てなかった理由はいったい何なのでしょう。
また、一刻を争うような理由があったとしても、長年住み着いていたツバメたちをゴミのように扱うのはなぜなのでしょう。
巣に残された雛達を保護しなかった理由はいったい何なのでしょう。

イワツバメ見物で宿泊をしている人もいるわけなので、そのようなお客さんの気持ちを全く考えなかったホテル側は世間から冷たい目で見られたとしてもしょうがないでしょう。
確かに工事主体は鳥獣捕獲の申請をしていませんでした。当然、法律違反です。
しかし、こんなにみんなの関心を集めたのは法律違反というより人道的に問題があったからだと思います。

地球上の生き物は全てつながっています。
どれ一つをとっても軽んじられる命は無いと思います。
でも、人間の生活で犠牲になっている生き物達が本当にたくさんいます。

今回の事件が、そんな生き物達が確かにいることを知るきっかけになり教訓として活かせるなら、死んでいったイワツバメたちも報われるというものでしょう。
人間と人間以外の生き物達が平和に暮らしていける世の中にすること、それが今を生きる人が出来る次の世代への最高の贈り物なのではないでしょうか。

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