2005.12.04
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知ることの大切さ
ここのところ更新作業が滞っていました。山階鳥類研究所の回答のあとで余計な記事を書きたくなかったのと、単純に忙しかった為でもあります。しかし、一月が経とうとしているので、そろそろ日記の更新をはじめたいと思います。 本日、茨城県土浦で行われた野鳥密猟問題シンポジウムなる集まりに参加をしてきました。 かすみ網の違法インターネット販売に関して警察と色々やりとりをしたり、密対連と連絡を取り合ったりした関係で今回の出席となったわけです。密対連の中村佳子さんには、いろいろお世話になりました。この場を借りてお礼をさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。その捜査もやっと動き出そうとしています。 そのことに関して、警察へ苦情を少しだけ。野鳥の事件となると人命に関わることではないので、事件のプライオリティーは当然低くなります。どうしても、警察の動きが悪くなってしまうようです。また、警察の野鳥に対する意識も低く、法律に関してこちらが教えるという場面もありました。犯罪には変わりはないのですから、もっと法律の番人としての自覚をもって欲しい気がしました。 次に、今話題のバンダーさんに関して弁護を少しだけ。密猟の摘発現場でその鳥が違法に捕獲されたものか合法かを判断するため、鳥の識別をする必要があります。しばしば、地元のバンダーさんがその役割をします。実際に野鳥を捕獲して観察をしてきた人でなくては識別は出来ません。山階鳥類研究所の人が識別をすることもあります。バンダーさんは鳥を捕まえて足環を嵌めるだけではないんですね。 午後、蓮田(レンコン畑)の防鳥ネットの視察に行きました。防鳥ネットとは、鳥がレンコンの新芽を食べてしまうので鳥が入れないようにするための網です。そこで見たものは・・・。信じられない光景でした。たくさんの鳥が網からぶら下がり死んでいたのです。詳しくは、後日報告をします。携帯電話のカメラ(古い)で撮影したのでよくわからないかも知れません。 ネットにぶら下がり死んでしまったコガモ --------------------------------------------------------------------------- 知っていることを間違える人はそういない。 人間が間違いを犯す原因のほとんどが、ものを知らないためだと思う。 何が大切かそうではないかを判断するためには、判断をしようとしていることについての知識が必要である。 逆に言うと判断は知ってからでも出来る。 標識調査について、はたして自分はどの程度知っているのだろうか?確かに法律的なこと、マニュアル的なこと、今まで公に発表されたデータなどについては普通の人よりも多くは知っていると思う。しかし、野鳥については素人で、ほとんど知識がない。手に入る書籍を手当たり次第に読んではいるが、山階鳥類研究所の方に比べたら赤ん坊程度のものである。 そのような人間が標識調査について反対か賛成かを判断するのはとても難しい。 野鳥にダメージを与えるという点ではやらない方が良いに決まっている。 また、教育現場、特に小学生程度の年齢の子供に理解してもらうには難しすぎ、せめて中学高学年からにして欲しいし、大人への啓蒙活動としても、きちんと調査について正しい知識を持ってもらってからが望ましいと思う。そのような教育をバンダーの方の責任の元に行われる事自体バンダーの人には荷が重すぎると思う。管理人自身、標識調査について、かなりの時間を割いて勉強をしていても理解しきれていないのが現状である。 しかし、標識調査というものはそれだけではない。色々なことが絡んでいるのである。まず、管理人は標識調査について、もっと知ることが大切な事だと思う。 バンダーになった方は調査についてもっと詳しく知る必要がある。知っていれば、無用な過ちはなくなるはずである。もし、知っていて過ちを犯すならばそれなりの罰をもって対処しなければなるまい。 つまり、教習所で渡される自動車運転教則本に則って運転をすれば事故はなくなる。これが守られないために事故が起こる。守らせれために罰則規定がある。「きみきみ、こんなことしちゃイカンよ」だけで事故が防げるか?これは、密猟の摘発場面や実際の刑事責任を問う際にも当てはまる。 山階鳥類研究所も、もっと知らなければならない事がある。標識調査によって得られたデータの活用方法である。いままで何十年も調査をやっているのだから、当然データを分析して、活用をしなければ研究機関としては片手落ちである。 当然、回収率というのも大切であるが、むしろ「放鳥、回収から何が導き出されたか」のほうが重要である気がする。ある鳥種で放鳥数、回収数が上がっているのは、何らかの理由があるはずだ。調査地がその鳥種の越冬地、繁殖地、中継地にあたっている為なのかも知れない。また、リングが回収されたのには何か理由があっての事だと思う。標識データの集合体それ自体にはあまり意味はない。データを詳しく解析する作業をして初めて意味のあるデータになるのである。解析をする機関が山階鳥類研究所にはなく、別な所が必要ならその機関を作らなければ、調査によって命を落とした鳥が報われない。もし、予算がないのならば、一刻も早くデータを一般に公開して研究者なり興味がある人の手に委ねるのが税金を使って調査をしているお役所の努めだろう。もっとも、標識調査費用の範疇には調査及び集計のみで、データの解析までの予算は入っていないようだ。その集計作業も滞っていて最新の報告書は平成13年度のものが最新というのが現実である。 というわけで残念ながら、山階鳥類研究所ではそのような解析は現在までには行われていないようで、環境省にもそのような書類という物は存在しないのである。実際行われているとしても、公表していなければやっていないと同じである。 しかし、今年から文部科学省科学研究費補助金(特別奨励費)を受けて「日本産鳥類資料の整備と活用に関する研究」と言うものが始まったようだ。その研究の中に「標識資料の整備と活用」という項目があり、そうそうたるメンバーが名を連ねているようなので、きっと輝かしい研究結果が出てくるものと期待しているのである。 今問われているのは、標識調査が今までに何をやって来たか・・野鳥にとって良いことをしてきたのかなのである。それに対して自信を持って答えることが山階鳥類研究所の義務であると思う。 ---------------------------------------------------------------------------- 野鳥の標識調査に関して写真家の和田剛一氏が取り組まれております。ご興味のある方・・野鳥に興味がある方は訪れてみて下さい。 「カワセミ日記」の中島さんのサイトでも標識調査問題を取り上げていますので、是非ご訪問して下さい。 日記を読んで標識調査に関心を持った方、直リンクで結構ですので是非お友達に紹介をして下さい。鳥たちの明るい未来のため、少しでも多くの方に標識調査に興味を持ってほしいと思います。和 |
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