2010.10.27
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今回は自作カメラの話題です。 ポスターなど撮影によってはデジタルバックを使う高解像度データが必要になります。モデルなど動きがある被写体では645DFなど一眼レフタイプのカメラが必要になりますが、そうではなくデジタルバックを使うような動きのないスチル撮影では35ミリカメラによるステッチング(タイリングともいう)で済んでしまうことも多くあります。多少スキルがいりますが慣れれば短時間に撮影をする事ができ、なりより高価なデジタルバックを持っていないカメラマンにとってコストを抑えて仕事が出来るので、とてもありがたい撮影方法です。都合がよいことに管理人はQTVRを作っているのでステッチ写真は得意です。 方法は二通りあります。一つはレンズのノーダルポイントを使いカメラをパンして撮影する方法。これは引きがとれない場所で建物を撮影するときや室内を超ワイドで、なおかつ高解像度で撮影するときに使います。もう一つはカメラ自体を水平にシフト移動させて撮影する方法です。これはテーブルセットなど狭い範囲を高解像度で撮影するときに使います。今回は後者のカメラを改良自作してみました。 シンプルなT型マウントにしました シフトステッチングが出来るカメラセットがホースマンから発売されています。しかし値段が高いのが難点です。ポイントさえ押さえておけば比較的簡単にステッチングカメラを作る事が出来ます。ポイントとは「精度良くセンサー面を水平にシフトさせること」だけです。幸いQTVRマウントをホースマンの4X5カメラで自作しているのでカメラシフトマウント用に魚眼レンズ用のQTVR枠を流用。蛇腹はフィールドカメラの物を蛇腹枠だけホースマン用と交換。前枠はカメラそのまま使い、モジュール化して二つの撮影方法に対応できるようにしました。写真のようにカメラは縦位置になりますが横位置にするにはL時ブラケットをかませればOKです。市販のものはカメラの回転で簡単に出来ますが精度的にクエスチョンの部分があり自作では基本カメラ固定を目指します。写真ではニコンカメラをつけていますが、単にカメラと蛇腹は光漏れが無く連結さえすれば良いのでキャノン用もレンズキャップとボディーキャップと4X5ホルダーの遮光板を加工してアダプターを作り対応しています。ホースマンだと5万円位しますがこの方法だと、数百円で出来てしまいます。 ニコンとキャノンのアダプター(こんな簡単な物でも充分です) 肝心の精度ですがホースマンの専用カメラでもセンサー面とシフトアオリのアライメント作業をしないとうまくステッチが出来ないので、そんなものと考えれば特に不便はありません。ステッチに向いている被写体、向いていない被写体がありますのでアライメント精度はそれによって変えるようにすれば効率が上がります。 テーブルトップ撮影の時は75ミリレンズから使えるので35ミリカメラ換算で標準レンズの画角が使えるのがうれしい 実際の撮影の手順は 1・・4X5カメラの水平垂直を出し、35ミリカメラも水平垂直に取り付ける。 2・・レンズのセンターとカメラのセンターを合わせる(ベースアライメント)。 3・・ライブビューを使いシフトさせた時ピントに狂いがないか確かめる(シフトアライメント作業)。慣れないと意外と難しい。特にレンズをあおったときは手を抜くと後で修正作業が増えるので出来るだけ正確に。キャノンはデザー撮影中でもカメラ側でライブビューが出来、拡大して確認出来る範囲が広いので、とても使いやすいです。 4・・必要枚数だけシフトしてシャッターを切る。 5・・PhotoshopCS5のphotomergeにて合成の後、不具合をマスク処理にて修正。(テストの時は解像度を落として合成すれば短時間に確認出来る) これだけで高解像度のデータを手に入れることが出来ます。 仕上がりが横比例の場合、カメラを縦位置にしてシフト撮影しますが、絞りが浅い時はカメラのミラーボックスによるけられでピントが動きますので、ぎりぎりのシフト量だとステッチ時に苦労することもあり、一度のシフト量は10〜15ミリ程度がちょうど良いと思われます。4〜5枚ステッチをよく使いますが、だいたい6000px X 8〜9000px程度でAptus-II 10のセンサーサイズ、画素数とほぼ同じになります。 当然Aptus-II 10などよりダイナミックレンジは狭いのですが35ミリサイズに対して拡大撮影になるので、D3Xの場合は意外とワイドレンジな仕上がりになります。サンプル写真はJPG圧縮6レベルで保存してありますのでデータの劣化が見られますがご勘弁ください。。 サンプル1(オリジナルJPGデータ) サンプル1の撮影データはニコンD3X 4X5用SW90mm f11.5 5枚ステッチで左右をトリミングして7617px X 5946pxあります。長い直線や布目などの複雑なテクスチャーがあり、ステッチが難しい絵柄です。アライメント作業を正確にすることが後処理を簡単にするコツです。 サンプル2(オリジナルJPGデータ) サンプル2はキャノン5D2 4X5用SW90mm f22 5枚ステッチで左右をトリミングして8253px X 5536pxあります。 こちらは複雑なテクスチャーがないのでステッチに向いている絵柄です。アライメントは水準器と目視チェックの精度でも十分対応できます。35ミリセンサーでf22に絞ると回析の影響でボケボケになりますがセンサーサイズを拡張しているので意外としっかりしています。 サンプル3(オリジナルJPGデータ) 今回のテーマではありませんが参考までに サンプル3はD3X AFS24-70の24ミリ ノーダルポイントを中心に天地左右にパンさせて6枚ステッチするパノラマ写真。単焦点レンズだと12ミリでもフレームに収まりきらないほど引きが無いロケーションです。 ズームレンズはノーダルポイントが変化しますので撮影前に調節します。今回は一枚の解像度を長辺3000ピクセルにリサイズしてからステッチをかけています。長い焦点距離を使いステッチするカットを増やせば巨大なデータも作れます。リサイズしないオリジナルサイズだと仕上がり画素は5000px X7000px位になります。ステッチソフトはREALVIZ社のStitcher5です。 AFS24-70用のQTVRマウント |
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