2010.07.08

くのいちの掟

上手な水面の走り方・・・右足が沈む前に左足を前に出し、左足が沈む前に右足を・・・

なんてことをしているわけではないが、そんな風に見えてしまうから写真は面白い。

コアジサシはツバメと同じく飛びながら水を飲むし、水浴びもする。しかし、ツバメがこんな風に水面を走るところは見たことがない。彼女が忍者のように水面を走っているのには訳がある。

どんな訳かというと

この写真を撮影した時間帯は、雲は多いものの梅雨の晴れ間で地面に座ってカメラを構えていても頭から汗が噴き出るくらいのカンカン照りの蒸し蒸しで、コンクリートの営巣地はもっと気温が上がっていたに違いない。

今、ヒナが生まれていて外敵からのガードをかねて直射日光に当たらないように親鳥がヒナの上に覆い被さっている。しかし、こんな天気なのでヒナも親鳥もコンクリートの照り返しと直射日光で焼き鳥状態になってしまう。こりゃたまらんというわけで、時折親鳥は体を冷やしに水浴びをするのである。

上の写真をみると親鳥のおなかに抱卵斑の黒い筋が入ってるのがわかる。足を後ろに反らし、おなかを水面に押しつけ冷やしている様子がわかる。

肉眼で見ていると餌獲りの様であり水浴びの様であり、今ひとつはっきりとしなかったが、写真を撮って拡大して見ると、着水時の足の形や水面への入射角が違うのが判った。水浴びも頭を垂直にして頭から水をかぶるように着水することもあるし、ついでに水を飲むこともあるようだ。

さて、彼女は充分におなかと体を冷やすとヒナの元に飛んで帰り、たっぷりと水を含んだおなかでヒナを冷やすのである。

蛇足だがここのコアジサシ達には足環がついている子が数羽いるが、困ったことに写真ではアルミリングだけでは文字の判定は出来ず、どこの誰だか全く判らない。何遍も言っているが、効率よく個体調査をするのなら、再捕獲のみに頼らず全く別の方法を模索し素早く実行に移すべきである。でなくては足環をはめられた鳥たちに申し訳がないというものである。