2010.05.23

つばさを切られたエンジェル

今月15日、神奈川県自然環境保全センターにつばさを切られたイワツバメ3羽が保護されてきた。折しも野生動物保護ボランティアの講習会開催の最中である。

両方の初列風切と尾羽をバサッリとハサミのようなもので切られていた。

矢を射られたカモや鹿、白鳥など野生動物たちの虐待話は数多いが、羽を切られたツバメは初めてだ。

今は初列風切を切られているので当然満足に飛べないが、いったいどうやってイワツバメたちを捕まえたのだろうか?手を差し出すと指に乗ってくるので雛を保護(誘拐)し飼育していたのだと想像できる。ある程度大きくなってから羽をクリップして逃げ出さないようにしていたのだろうか。この時期に風切り羽をなくしてしまうと自然に生え替わるのを待っていては今年の渡りに間に合わない。強制的に羽を抜いて生えるのを促進してあげるしかない。もし、飛べたとしても自分で餌が捕れるのだろうか?

まったくひどいことをするものだ。

世間では全く誤解しているふしがあるが、何の報告もなしに野鳥の雛を保護して育てることは違法なのだ。「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」第3章 第一節 第八条に明記してある。

つまり、「野鳥の雛が落ちていた→→→かわいそうだから拾って育てた」実にほほえましい話だが本当は違法で、第三者に通報されれば逮捕の可能性もある。雛ばかりではなく卵さえも持ち帰ってはいけない。

たとえばツバメの巣から卵を盗んだら、それは立派な犯罪行為である。雛を保護して育てるときは、野生動物を保護している機関やお住まいの緑政課など役所に報告をして飼育許可を貰わなければいけない。厳密に言えば野鳥を保護するときには捕獲許可がないと捕まえることは出来ないのだ。

第一、野鳥の雛を拾ってもきちんとした知識がないと育てることが出来ないばかりか、たとえ育って野生に帰しても生きていくことが出来ない。所詮人間が親鳥に替わって野鳥の雛に教えてあげられることなど、ないに等しいと思った方がよい。

野鳥はセキセイインコなどの鳥とは全く違うということをきちんと理解しなければいけない。

厳しい自然の中、野鳥が生まれて生きていくという真剣勝負に対して人間としてきちんと責任を負えるのか・・・保護するときに頭の隅にでもとどめておいて欲しいのです。