2007.05.16
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ボランティア講習会も無事に終わり、ほっと一息つきたいところですが来週の東京バードフェスティバル出展がもう目の前に迫っています。 話は違いますが、ちょうどボランティア講習会の最中、保全センターにツキノワグマが運ばれてきました。神奈川県では30頭しか確認されていないレッドデータブック(2006)で絶滅危惧種に指定されている熊さんです。イノシシの罠にかかったシカを襲ったこところ自分が罠に入ってしまい、捕獲され挙げ句の果てに殺されてしまいました。厚木市の許可のもと、捕殺という結果になってしまったようです。役所によると厚木市内に放してもらっては困るという事です。元々厚木市内で捕獲された熊ですから同じところに放すのは理にかなっています。しかし、一度人里に出てきた熊は再び戻ってくる可能性が高く人を襲うかもしれない、そうなっては役所としては困るというのが本音だと思います。(これについては後ほど説明します) ちょっと待ってください。熊だって人が住むような所には来たくなかったはずです。山の中だけで生活が出来ればそのようなことはないでしょう。昨年は全国でたくさんの熊さんが人間の犠牲となり捕殺されました。 人間側からみればおっかない熊が出てきてもらっては困る。一方熊さん側からみれば食べるものがなくなって、飢え死にするよりおっかない人間のそばに出てきて食べ物を探そうみたいな事だと思います。 人の怖さを教えて山に帰すことを感傷的で野生動物管理を知らない輩のたわごとだという人がいます。おそらく、そのように言う人は「邪魔者は殺せ」の号令のもと生身同士では人間より強い熊が日本から居なくなるまで殺し続けるのでしょうか? 人と野生動物が共生するのは確かに難しいことです。場合によっては殺すことも確かに必要だとは思いますが、お互いの妥協点を見つける努力をしないと生物多様性が失われ必ず手痛いしっぺ返しがくるはずです。今回の状況から見たら何も殺すことはなかったと思います。捕獲された熊は山に帰すという生存のチャンスを与えられることなく、殺されて頭から血を流して横たわっている写真を見て、役所の浅はかな判断に怒りが湧いてきました。 何考えてんだ! 神奈川県では「人里でのツキノワグマ出没時の対応方針(平成18年度)」というものを定めています。それには次のように記載されています。
表1.出没レベルごとの対応内容
今回の事例を考えてみると客観的事実は「捕殺されたツキノワグマがイノシシ捕獲用檻の中のシカを食べた」だけです。目撃はこの1回だけ。 他には「何の動物の仕業かわからないが近くに埋められたシカの死体が食べられていた」「何の動物の仕業かわからないが同じ檻に入った子ジカが食べられた」があるのみです。 通常ではレベル3に値すると思われます。レベル3の対応をせず、対応方針を無視し、いきなりレベル4の捕殺を短絡的に選択した厚木市はそれまで何をしていたのか?これは行政の怠慢を責められても仕方ないのではないでしょうか? そもそも、クマが入れるようなイノシシ罠をしかけ、シカが度々入ってしまうこと自体が問題で、なによりクマに餌を与えているようなものですから、問題は少なくないと思います。 これをお読みの皆さまは、どう思われるでしょうか? |
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